四姉妹からの手紙

2人の物書きの往復書簡です

灰色のコンクリートの合間に光る ── カガワヨリ

交換日記も半月あいだが空くと、自分と自分がかつて書いたものがつながらなくなって参る。

 

と、まさにあなたが言ったようなことと同じく。この半月にいろんなことがあってブログもかけず、この半年になにがあったのかもうきちんと思い出せない。整理して思い出そうとすると、頭に靄がかかったようにぼうっとしてしまうほどに。自分から「やろうよ」と言い出したこのブログすら、IDもわからなくなってしまっていて参った。(スマホが壊れてすべてのデータが消えてしまった……合掌)。

 

先週、旅先からハガキを書いた。
このブログが更新できなかったから。
スマホもパソコンも開けず、どのみち電波もないところにいたので、ハガキでもって四姉妹の手紙を綴ろうとした。ただ最近はペンで文字を書くことにご無沙汰になっていて、思うように言葉が出てこない。出てきても漢字が書けない。こうやって日頃触れていないものはいつしか消えていってしまうのだ。そうやって消えていってしまったたくさんのものは今もきっと時間のクレバスに落ちたままになっている。だから言葉を紡ごうとするのかもしれない。消えないように。言葉は、消えそうなものを手繰りよせる蜘蛛の糸のようだ。

 

あわただしく太陽が昇り、さっさと月と入れ替わるような毎日でも、ふと覚えていることがある。小さな蝶の交尾。コンクリートの道路のまんなかで、行き交う人間やカラスをものともせず、ひらひらといとなむ命。

その生命の小さな息づかいのようなものが、突風のような日々のなかでチッと光って見えた。

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カガワヨリ